20人の気に入らない人間を効率よく殺すとすればどんな方法を取るだろうか。
手っ取り早いのは毒殺だ。
だが、この20人の中、1人実行する自分だけが生存するのは不自然だ。
ということで、この方法は好ましくない。
では、もっとも原始的な方法。首をロープで絞める。これもよくはない。
2人も殺したところで、通報されてしまうのがオチだ。駄目。
少し頭を使って、事故死に見せかけてみるのはどうだろう。
20人が一気に死ぬ事故はなかなかないものだ。
先人に習ってヒ素でもカレーに仕込んでみようか。
その時点でこれは毒殺になる、却下だ。
集団自殺に見せかけてみるのはどうか。
受験ノイローゼということで、一同全員練炭自殺。
死ぬより勉強する方がマシなので、これは不自然だ。(世の中には勉強よりも死を選ぶ奴も居るが、例外ということにしておこう)
それに、20人入る車が用意出来ない。学生であることも条件だから、これをクリアするのは難しい。諦めよう。
では、テロなどでよく使用される爆弾は。そんな危険なものを準備するのは面倒だ。
それに、近頃は爆弾を作成する方法を手に入れること自体が困難だ。
材料はあれど、作り方はわかりません。間抜けだ。
次は自然に頼ってみよう。落雷、地震、津波、その他ハルマゲドン。
落雷により、大量の人間が死ぬには条件が多すぎる。
水場であり、水の中に人が入っており、そんな場所に雷が落ちる。
一番可能性が高いのは海だろう。だが、海に雷が落ちたとしても電気が走る間、海に潜っていれば感電死する可能性も下がる。
地震。20名が死ぬような大きなものなら、自分だって生きているのか疑わしい。
自分が死ねば元も子もない。自分としては、これからも巨大な地震が来ないことを祈るばかりだ。
津波に関しては、地震が原因で起こるため、以下省略ということにする。
残るはハルマゲドン。残念なことに、無神論を唱える不道理主義者としては神なんていう存在は認めない。
これからも科学で解明出来ないものの存在は認めないつもりだ。
20人を殺したいという薄汚い願いだけで、もしハルマゲドンが起こるとしたらとっくにこの国はオウム真理教により潰れている。
ありえない。
空を見上げた。
月は雲で隠され、星は輝くどころか雲によって存在するのかわからない。
この夜は、100年後残っているのだろうか。
一つ、空から何かが落ちてきた。それは明らかに自分が殺したい20人に向かっている。
まさか、と思ったがハルマゲドンよりはマシだった。
20人の気に入らない人間を効率よく殺す方法は隕石による事故死である